中国人社長との最終面接1

「中国留学されたんですね、じゃ、今ここで中国語で自己紹介して」

「この経歴書であなたが40歳なら私、許しませんよ!」

「で、血液型は?」


都内のアパレル関連企業の営業職。
中国の自社工場(3000人規模)がある。
都内向け法人営業の求人。
面接にあたったのは、専務取締役のおばさん。
テカテカ光った真っ青なスーツ。
シャネルの異様に大きな眼鏡に彼女の圧倒的顕示欲を見る。

外見もさることながら、銀座のママさんみたいな
フツーに隣近所で買い物をしていそうなおばさんには 見えない。海千山千の貫禄が滲み出ている。

「なぜ、今まで中国関係の仕事に就かなかったの?」

「あなたの中国に対する思い入れは分かりました。

しかしですね、あなたには優しさという弱さが透けて見えるんです。
営業は理不尽なことを言われても耐える力が試されるんです!」

「(オーダー通り)数千個生産して、いざ持っていくと
『こんなんじゃない、作り直せ』と無理難題を言ってくるお客さんもいるのよ。
それをソフトランディングでお客様さんに納得してもらうことができますか。」


根掘り葉掘り質問され、防戦一方の面接が延々一時間。
面接部屋を辞した瞬間、力が抜けて抜け殻になる。

 

 

その夜電話が鳴った

 

「 面接が通りました。最終面接です」